語彙identification-problem版 5
識別問題
関心のあるパラメータ(ターゲットパラメータ)の値を、観測できる変数の分布から、ほかの値と区別して一つに特定できるかという問題。データの量ではなく、モデルに置いた仮定と、どんな変数を観測しているかで決まる性質。
観測できる変数を 、 の分布を決めるすべての要素(パラメータ)を 、 の取りうる範囲(モデルの仮定)を 、 のもとでの の分布を 、知りたい部分を とする。 と矛盾しない分布の集合を
としたとき、次が成り立てば は識別される。
- 分布が完全に分かった(データが無限にある)状態を考えるのは、識別と推定を切り分けるため。識別は一致推定の必要条件で、十分条件ではない
- 識別はデータを見て判定するのではなく、仮定から紙の上で示す。分布から を計算する式を見つければ識別される。 が違うのに同じ分布を生む具体例を作れば識別されない
- 一意に決まらなくても範囲までは絞れる場合があり、それを部分識別という。これと区別して、通常の識別を点識別とも呼ぶ
例:宿の価格弾力性
が違うのに同じ を生む があるなら、データの分布から は一つに決まらない(識別されない)。
ある宿で、次のデータが得られたとする。
| 季節 | 価格 | 月の予約泊数 |
|---|---|---|
| 閑散期 | 8,000 円 | 15 泊 |
| 繁忙期 | 12,000 円 | 25 泊 |
このデータは、次の 2 つの需要のどちらでも説明できる。
| 閑散期の需要 | 繁忙期の需要 | 閑散期の弾力性 | |
|---|---|---|---|
| 価格に鈍い客 |
そのため、需要の価格弾力性は識別されない。各季節で価格が 1 つしかなく、季節が同じで価格だけ違うデータがないためである。閑散期に別の価格も試せば(例えば 10,000 円なら、前者は 13 泊、後者は 7 泊と予測が分かれる)、弾力性は識別できる。
ただし、識別できることと精度よく推定できることは別の話。10,000 円を 1 か月試しただけでは、偶然のばらつきで泊数がぶれるので、弾力性の推定値には大きな誤差が残る。
呼んでいるもの
まだありません。